先日、慶應義塾大学大学院で講義をしてきました。
受講生のほとんどは大学院1年生。これからインターンも始まり、就活が意識に入っている子たちでした。
大学院の授業で講義をすることになるなんて考えてもいなかったので、依頼を受けた時は嬉しくて舞い上がってしまいましたが、「学生の価値観を揺さぶってください」というオーダーにどうしたもんかと3か月悩みました。いやー、大変だった(笑)
結局、私も大学院生だった時代には考えてなかったけど、今になって大事だと思うこと、そしてこれから時代を作っていく我々世代が今後必要になることをお話ししました。
詳細は省きますが、とにかくこれからはより“個人”が重視されるので、「あなたと仕事したい」「あなたにお願いししたい」と思われるようにならなければならないこと。そのために魅力ある人間にならなくてはならないし、そしてそれを表現できるようにならなくてはならないことを伝えました。あと、お金をいくら持っていたって、使い道が決まってないと意味ないよ。だから人生をかけて、何に使うからいくら欲しいかを考えましょうねということ。
すると、今までの講師とは全く違った講義をしたのでとても新鮮で、かつ彼ら自身の話をしたので心に刺さったようです。
講義後のアンケート評価も過去最高だったそうで、学生の感想を見させてもらうと、「自分の人生を経営するという視点を持ってください。」というメッセージに刺激を受け、オーダー通り、価値観揺さぶれたかな、と嬉しくなりました。
ちなみに、こんな感想を書いてくれた子もいました。
「由岐中さんのようなプレゼンができるようになりたいです」
はい、パフォーマンス学を学びましょう!(笑)
で、彼らに話しながらよくよく思い返してみると、尊敬に値する人って、ただ沢山稼いだってことじゃないなと改めて思いました。ただの金持ちには興味ない。
お金が欲しいと思うのはみんな一緒。そのための方法論を教えてくれる人はいくらでもいる。だけど、稼いだお金をどう使うかってところまで考えさせてくれる人はあまりいないんじゃないでしょうか?
「稼いでから使い道を考える」んじゃなくて、「お金を使いたい目的があるから、そのために稼ぐ」という方が実は幸福への近道なんじゃないでしょうか。
その目的に公共性(社会性)があれば、共感してくれる人も多くなるでしょうから、結果的に速く稼ぐこともできるでしょう。
私欲でただ稼ぎたい、としか思っていない人は、誰からも相手にされなくなっていくでしょうね。
だって、あなたから買う人はあなたに贅沢させるためにお金を払うわけではないし、あなたと働く人は、あなたを楽させるために働くわけじゃないから。
「この人にお願いしたいな」「この人と働きたいな」と思ってもらうためには、大きなビジョンを示すこと。そして、普段から他人のためにお金を使っているところを見せること。たとえ小さいことであっても。
こう考えると、大きく稼ぐということはそれ自体にも価値があると思います。というのも、それだけ多くの人に幸せや価値を提供しているから。
ソフトバンクの孫正義さんは有名なエピソードがいくつもありますが、創業時、ミカン箱の上に立って当時の従業員に向かってこう宣言したそうです。
「豆腐屋のように売り上げを1兆(丁)2兆(丁)・・・と数える会社にする!」
実際、昨年度の決算ではグループ売上総額は9兆円を超えているからすごいのですが、それもそれだけ多くの人に、楽しくて快適な生活を提供しているからこそ。経営理念である「情報革命で人々を幸せに」することができているからこそでしょう。